Johnnivan
ー読者に向けて自己紹介をお願いします。
🟩Shogo(Key):Johnnivanです。東京を拠点に活動してます。大学の頃、皆同じ音楽サークルに入っていて、僕とJohnathan(Vo)は2017年から曲を作っていたんですけど、いざバンドやるかってなって、2018年に彼ら三人[Kento(Ba),Yusaku(Dr),Junsoo(Gt)]を迎えて結成しました。
ーメンバーそれぞれUS・UKロック、クラシック、邦楽などと、ルーツとなった音楽が異なるとお聴きしましたが、今のスタイルで音楽活動を始動することになった経緯はなんですか?
🟩Shogo:初めにJohnathanと曲を作っていて、仰る通り、方向性は全然違いましたね。僕が書く曲、Johnathanが書く曲とで。でも結論至ったのは、どのジャンルやろうとかじゃなくて、今にも共通していることですけど、その時カッコいいものをMIXして作ろうってなって。これで行こうって決めたわけじゃないんですけど、振り返るとそうだったのかな、と思ってます。
⬛️Johnathan:異論、ありません。
一同:(笑)。
ーリファレンスに立ち返ることを大切にされていたり、作成したプレイリストを用いながら楽曲制作をなさっていたりと、常にメンバー全員が幅広く音楽を聴いているイメージがあるのですが、現在参考にしていたり、注目しているアーティストはいますか?
🟩Shogo/🟧Yusaku:The 1975…
一同:(笑)。
🟩Shogo:(7/7に)新曲も出しましたし。
🟥Junsoo:The 1975は皆好きなんじゃないかな?
🟧Yusaku:共通言語だよね。
🟥Junsoo:皆が好きなバンドのいくつかの内の1つだね。
ー今日のライブ(2022/7/9 @下北沢SPREAD)の演奏前に、Phoenixの「Lisztomania」が流れた時も皆さんノリノリでしたよね(笑)。
🟩Shogo:Phoenixもそうだね。
🟧Yusaku:あと、LCD Soundsystemとか。
🟩Shogo:そういう当たり前のものも、勿論リファレンスに無意識で入ってると思います。今注目してるアーティストは、一人一個ずつ言っていく?
⬛️Johnathan:既に大人気ですけど、スペインのRosalía(ロザリア)っていう方が凄い好きです。
🟦Kento:最近Toro y Moi(トロ・イ・モワ)が出した新譜の”MAHAL“めちゃくちゃリピートしてます。
ーいいですよね!私もレコード購入しました。
🟥Junsoo:僕は最近Wet Leg(ウェット・レッグ)にハマって聴いてますね。このあいだGlastonbury(グラストンベリー)にも出てて。
🟩Shogo:話題だよね。
🟧Yusaku:僕は永遠にKendrick Lamer(ケンドリック・ラマー)の”To Pimp A Butterfly“をずっと聴いてます。
🟩Shogo:今ってことですよね、Japanese breakfast(ジャパニーズ・ブレックファスト)とか好きですね。
ー最低限、僕らがノれてかつお客さんがノれるか
ー2019年〜2022年にかけて、私自身も数々のJohnnivanのライブに行かせていただきましたが、ライブのたびにパフォーマンスがアップデートされていると感じています。
パフォーマンスを行ううえでのこだわりや、ライブアレンジのアプローチはどういったものなのか、お聞かせください。
🟧Yusaku:フロントマンに比べてドラムの配置は後ろなんですけど、僕(Dr)が一番エネルギッシュで音がデカいと思うので、バンド全体の熱量が上がるように見た目と音で発揮しようと思ってますね。バンドの華になれるように。
🟦Kento:分かりやすい感じにはしようとしてますね、原曲と比べて。お客さんがノリやすいように分かりやすい音作りをしたりとか。
🟥Junsoo:アバウトですけど、皆お金払って見にきてくれてるんで。ミュージシャンとしてお客さんが満足いくパフォーマンスができるかどうかってのは意識してます。
🟩Shogo:失礼が無いように、お客さんにリスペクトするっていうのは考えてるよね。
⬛️Johnathan:今ライブでやってる大半は音源として出てるものなんですけど、自分だけの話をすると、新曲含め発表される音源よりもアグレッシブにやろうとはしてます。カクカクした感じじゃなくて、”人間五人がやってます”、みたいな。その方がより伝わるような気がする。
ー以前他のインタビューでパフォーマンスに対し、”エネルギッシュでいい感じならOK、ではない”と仰っていましたが、私自身もJohnnivanのパフォーマンスは”即興”よりも”緻密に構成されたもの”だと感じました。
🟥Junsoo:そうですね、どちらかと言えば即興はほぼないんじゃないかな。
🟩Shogo:細かいの入れたらあると思うけど、確かに皆でセットリストを考える時とか、まず自分達がノれないと話にならないんで、どうやったら自分もお客さんも(ライブ一公演分)飽きさせないようにできるかなってのは常に考えてますね。それを考えて、ここは派手にセッションしたほうがいいなとか、こっちは硬くいったほうが伝わりやすいかなとか。
🟥Junsoo:最低限、僕らがノれてかつお客さんがノれるか、だけですね。
🟩Shogo:結構試行錯誤してるので毎回違うパターンでいくから、アップデートされてるってより感じるかと思います。
ー2018年のシングル版と2019年のEP版の”Nobody’s Awake in This House”をそれぞれ比較すると、楽曲にかなり変化があると思います。ライブアレンジからも感じられることなのですが、”既存の曲を常に更新していく”といったプロセスがあったりするのでしょうか。
🟩Shogo:そうですね、でもこれは無意識かもしれないです。シングル版とEP版で違うのは、制作環境が変わったってのはあります。EP版はプロデューサーを迎えて、外部の人の意見を入れて制作したので。対してシングル版は自分たちだけで制作したので、そこがまず違いかなと。ライブで変えてくって意味だと、写真フォルダにあるニ年前とかのライブを見て、ショボいなって思って変えてきたって訳ではないので。皆で色んな音楽聴いたり、スタジオ入ったりしてるうちに感覚が変わって、カッコいいと思ったものを取り入れて今の形になってるのかなと。変えようと思って変えてはいないです。
🟧Yusaku:ライブで手応えを感じて、これいいなって思ったらそれが型になっていって、”ライブで進化し尽くしたなって思った曲は一度手放して、違う曲に”、っていうのはずっとやってます。そういう意味では進化し続けてるのかなと思います。
⬛️Johnathan:異論、ございません。
一同:(笑)。
🟩Shogo:まあ、そういうのを繰り返すうちに、カッコいいなって思うものが共通してきたかなって思います。
ーJohnnivanのジャケットのアートワークやグッズデザインは全てJohnathanさん(Vo)が行っていると聞きました。
アートワークをご自身で手掛ける理由や、デザイン制作時にイメージしていたものがあれば教えてください。
⬛️Johnathan:自分でやる理由としては、一つはそれが一番楽っていうのと、もう一つは曲の大半のスタートが自分なので、リスナーからしても自らやった方が一貫性があるかなと。イメージしていたものは、アルバムのコンセプトにフィットするもので、制作期間中に拾ってきた写真を使っています。
ー「Bushwick」、「Danced Once」のMVはJohnnivanのもつミステリアスなイメージが反映されたとても興味深いものでした。
不穏な空気が漂うロケーションで繰り広げられる展開に、海外のスリラー映画を見ているような感覚に陥りました。
二作とも小島央大さんをディレクターに迎え制作していますが、彼をディレクターに迎えた経緯や、MVのコンセプトがあればお聞かせください。
🟩Shogo:何人か監督を紹介してもらってそれぞれの作品をみて、自分たち的に一番カッコいいなって思ったのが小島央大さんでした。彼と会って会話する中で、音楽のルーツだったり、(メンバーとの)これまで見てきた映像作品が被ってたりで意気投合したというか。内容については全てに彼にお任せしました。
ーそうだったんですね!
🟦Kento:企画書みたいなのを作ってくれてて、その案に沿って全て従いました。
🟥Junsoo:安心して任せられるなって存在です。
ーネガティブなエモーションからのほうが、ダイアログが生まれやすい
ーJohnnivanはメディアから”ダンス・ロックミュージック”のジャンルで紹介されることが多いと思うのですが、過去作では”ダンス・ロックミュージックな一枚”と統一されてるのではなく、「All You Ever Do」や「Downer」などのセラピー要素がある曲や、「Green Screen」などのインスト曲も含まれているのが気になりました。そこに込められた思いをお聞かせください。
⬛️Johnathan:挙げていただいた曲以外にも、悲しかったり暗かったりする内容のものはあるんですけど、悲しい曲を書こうと思ってるわけではなくて、デフォルトで書き始めると自分のトラウマとか嫌なことが出てくるってのが自然で。それを悲しく装飾したほうがいいか、それともダンシーな曲に合わせたほうが逆に対比できるかって感じで、曲ごとに出来上がったものが完成するってのはあるんですけど。自分は、暗い曲のほうが共感することが多いというか、例えば曲としては好きだけど、Pharrellの”Happy“は全く共感しないし(笑)、それならNine Inch Nailsの”Hurt“のほうが共感するとこ多いみたいな。だから、歌詞に関しては自然と毎回暗い方面に行くのが多いかなと思ってます。
ー暗い感じのほうが曲に乗せやすいんですね。
⬛️Johnathan:そうですね。ネガティブなエモーションから来てるもののほうが、ダイアログ*1が生まれやすいのかなっていう。ノンフィクションでかつ暗いほうが。
*1ダイアログ:この場合では、対話という意味。
ー少し異なったジャンルの質問になりますが、メンバーのファッションスタイルもそれぞれ異なると思うのですが、好きなスタイルやファッションに対するこだわりはありますか?
🟩Shogo:他のバンドマンに比べたら無いと思いますね(笑)。
🟥Junsoo:下北沢のアベレージに対したら、そんな無いと思う。
一同:(笑)。
🟧Yusaku:僕は以前古着屋で働いてたので、服はめっちゃ好きです。Graphpaper(グラフペーパー)とかAURALEE(オーラリー)とか好きなブランド着てって感じで。Johnathanも結構こだわりあるよね?
⬛️Johnathan:そうですね、自分は服着る時のルールというか三色以上着ないっていう。
🟦Kento:えー、そうなんだ。
⬛️Johnathan:青、白、黒だけ、みたいな感じで。
ーShogoさんは、ジャケットスタイルが多いですよね?
🟩Shogo:お堅いと思われるかもですけど、ジャケットとかスラックスとか好きですね(笑)。
🟧Yusaku:アメリカンクラシックスタイルとか好きだよね。
🟩Shogo:皆バンド以外で一面を持ってるというか、そこが色々影響してるのかなって。
🟦Kento:映画は皆好きですね。
🟥Junsoo:あー、好きだね。
🟧Yusaku:最近だとStranger Thingsは皆観てるし、80’sの服装はめっちゃ好きなんで。
🟥Junsoo:たしかに、80’s界隈は皆好きだね。
ー”再現”じゃなくて”表現”する、”五人”による演奏
ー今年の秋頃遂に待望の2nd Albumリリース予定だそうですが、以前ライブで拝聴した際には、今までとはまた違ったジャジーで爽やかな印象を見受けられました。今作のテーマがあれば教えてください。
⬛️Johnathan:2nd Albumの制作は毎回皆苦戦するってのは知ってたんですけど、いざ作ってみると、コロナが始まった頃でそれ以外やることもなかったから、そんなにライターズ・ブロック*2とかにもならなくて。意識的に前とは違うことをしようって制約をかけず、前からやってたことを続けて自然と成長できたっていう結果かなと。全然作風が違うんですけど、並べて聴いてみると1st Albumのとんでもないアップデート版みたいな。前やりたかったことが着実に、もう少し自分達の力で出来るようになったんじゃないかなって。
🟧Yusaku:五人それぞれが演奏してる絵みたいなのが、聴いてて想像できるような曲が集まってますね。
🟩Shogo:そうだね、ジャンルを言っちゃうとネタバレになっちゃうんですけど。
🟥Junsoo:テーマを一言でいったら”オーガニック”じゃない?
🟦Kento:一部のテーマはそうだね。
⬛️Johnathan:作り方が、オーガニックというか。
🟩Shogo:うん、本当の意味で”五人で”作れたなってのはあります。今までは、良くも悪くも完璧主義すぎたというか。
⬛️Johnathan:確かに今まではラップトップ上から音源になりました感が強かったんですけど、今回は”五人”が演奏しましたっていう流れがあるのかなって。
🟧Yusaku:”再現”じゃなくて”表現”してるって感じ。
🟩Shogo:うん、俺らが生でやるならこうだよ、みたいな。いい意味でもう完璧主義やめたというか。
⬛️Johnathan:ジャンルのヒントを与えるとしたら、よりロックなアルバムになったかなって気はします。ギター披露ってよりも、志しがロックになったって感じ。
🟩Shogo:色んな方面でロックになってます。
*2ライターズ・ブロック:主に執筆に関して、作家が新しい作品を生み出す能力を失ったり、創作上の低迷を経験したりする状態。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
🟩Shogo:MVや、次の作品について話したのは初めてだったので、この記事を見て2nd Albumの音源・映像作品を楽しみにしていただけたらなと思います。毎回この作品が終わりだと思って、最高傑作作ろうと思ってやってるので、これで終わってもいいかなって思うぐらいに自信があります。なので、楽しみにしててください。
⬛️Johnathan:やっと出来たので、早く皆さんに聴いてほしいです。よりパーソナルでグランドですが、タイムレスな一枚が出来たなと思ってくれたら嬉しいです。それ基準で聴いてください(笑)!
◆ Biography
Johnnivan
Classic x Dance x Electro = Johnnivan
Johnathan Sullivan (vo.)とShogo Takatsu (keys.)を中心に2018年に結成された日/米/韓の多国籍ロックバンド。メンバーは全員早稲田大学出身で共通の音楽サークルで出会う。バンドは2018年より東京のライブハウス界隈に現れ、これまでSummer Sonic等の大型フェスにも出演し話題を呼んでいる。独特な作風と、肉体的且つハイクオリティなライブパフォーマンスが多方面から高い評価を獲得し、日本のインディー業界では異彩を放っている。
writer / photo : Seira Kimura