The Road To Hell Is Paved With Good Intentions
Vegyn
フランク・オーシャンやトラヴィス・スコットとのコラボレーションで知られ、レーベルオーナーとしてもシーンを牽引する先駆的プロデューサー、ヴィーガンが、ソロ・アルバム『The Road To Hell Is Paved With Good Intentions』を発表した。リリースは自身が主宰する『PLZ Make It Ruins』からとなり、アルバム発表にあわせてニュー・シングル「The Path Less Travelle」とミュージックビデオを解禁した。90年代‾00年代初頭の美しいエレクトロニカを彷彿とさせるノスタルジックな楽曲で、ジョシュア・ゴードン監督による粗くローファイなミュージックビデオは、見事にサウンドにマッチしている。
Vegyn – The Path Less Travelle
プロデューサー、DJ、デザイナー、レーベルオーナーと様々な顔を持つヴィーガンことジョー・ソーナリー。2022年には70曲以上を収録したミックステープ『Don’t Follow Me Because I’m Lost Too!!』を発表し、昨年にはフジロック出演も果たすなど、多岐にわたる音楽活動を続けている彼は、本作に取り組むにあたって、本人が言うところの「いくつかの標準以下の作品」、つまり日の目を見ることのないレコードを何枚か作ったことで、古いパターンから脱却する必要を感じたという。洗練されたサウンドや、広大でオープンエンドなアイデアの代わりに、不完全さを許容したことで、一つ一つの楽曲が高揚感と不気味なメランコリアの間で綱渡りするような、 非常に精巧に作り上げられた作品が誕生した。
本作『The Road To Hell Is Paved With Good Intentions』は、自由奔放な実験空間から生まれた。プロデューサー、レーベルオーナーとして、世界を飛び回っているヴィーガンは、世界各地のスタジオ、リビングルーム、ホテルの部屋などで新曲を書き上げた。 これまでで最も完成度の高い本作には、ジョン・グレイシア、マット・マルチーズ、レア・セン、ローレン・オーダー、イーサン・P・フリンら多くの気鋭アーティストが参加している。
他の作品と同様、本作のタイトルも曖昧さに満ちている。直訳すると「地獄への道は善意で舗装されている」となるこの言葉が、実際に何を意味するのかを考えたとき「正しいことをすることで、かえって問題を増やしてしまう」といったことや「良いことをしようという頭の中の考えは何の役にも立たない」といった考えがジョーの頭に浮かんだ。いずれにしても、意図と行動の間にある分裂を捉えた言葉だと彼は説明している。
今作では、トレードマークでもある独特の華やかさやBPMの変化よりも、メロディーや曲構成に重点が置かれており、それが完成度の高さにつながっているのは間違いないが、それでもヴィーガンらしい皮肉の効いたユーモアやノスタルジックな瞬間は作品全体に散りばめられ、それがヴィーガンのすべての作品に共通する多幸感とメランコリーの絶妙なバランス、そして慰めと安らぎをもたらしている。このアルバムは、長年の経験と洗練の集大成であり、まさにシーンの先頭で時代を作るアーティストのサウンドだ。
実験し続けることで、自分が求めているものを表現する方法を自分なりに作り上げてきた。僕はただ、エモーショナルな共鳴を見つけようとしているだけなんだよ。
– Vegyn
ヴィーガンの最新作『The Road To Hell Is Paved With Good Intentions』は、国内盤CDとデジタル/ストリーミング配信が4月5日、輸入盤が5月24日にリリースされる。国内盤CDには、解説書と歌詞対訳が封入され、ボーナストラック「Goodbye!」が追加収録される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、特殊パッケージの数量限定盤(シルバー・ヴァイナル)の2形態で発売される。
◆◆ Release Information◆◆
ARTIST : Vegyn
TITLE : The Road To Hell Is Paved With Good Intentions
RELEASE DATE : 2024.04.05
LABEL : PLZ Make It Ruins
◆ Biography
Vegyn | ヴィーガン
ジョセフ・ウィンガー・ソーナリーはアーティスト名はヴィーガンとして知られ、イギリスの音楽プロデューサー、DJ、グラフィック・デザイナー。フランク・オーシャンの『Blonde and Endless』のプロデュース作品で知られる。2012年には自身のレーベル「PLZ Make It Ruins」を設立。自身のレーベル以外にも、Cocoon RecordingsやRaum…Musik、Subwax Bcnなどの有名なレーベルからも作品をリリース。彼の作品は、様々なスタイルやサウンドに対応できる柔軟性と多様性を持つ。2016年には、「PLZ Make It Ruins」から初のソロアルバム『Solemnity』をリリース。このアルバムをもって、「PLZ Make It Ruins」は一時休止したが、2023年に新たなサウンドとコンセプトで再始動した。2017年には、自身のプロジェクト「Girada Unlimited」を立ち上げた。このレーベルもビニール盤限定でリリースされることが特徴で、音楽愛好家やコレクターたちから注目された。このレーベルからは、彼自身の作品のほかに、「Girada Max」という名義で他のアーティストたちとコラボレーションした作品もリリースされ、2021年には「Girada Unlimited」からセカンドアルバム『Break-Even』をリリースした。