自身初となる個展”ドラマティックトウキョウ”を終えた猪立山泰人へインタビュー。

Taito Itateyama


ー本展が自身の初個展だそうですが、salt and pepperで開催することになった経緯は何ですか?

半年以上前くらいに、写真家の小浪次郎さんが東京に来るタイミングに、自分の写真を見てほしいですって声をかけさせてもらって、ホテルに1000枚くらい写真を持ってって、次郎さんにセレクトをしてもらったんですよ。どういう表現が合うかとか、自分のスタイルを自分では理解してたんですけど、その時は第三者の声が必要だったのもあって。その後、僕の方からsalt and pepperさんに個展をできないかって連絡をしたら、たまたま次郎さんとsalt and pepperさんで長い繋がりがあって、「じゃあもう早速2日後に写真持ってきなよ」ってなって、デモブックを2日で仕上げました。


ー2日で!これの製作過程も今回の写真集に少し載っていましたよね?

そうですね。持っていく日程は決まってたので、2日間徹夜して。笑 仕事終わってからすぐに取り掛かって、買った本をA4の白い紙で埋めて、そこにL版をひたすら貼ってくっていう単純な流れでしたけど、写真のレイアウトに結構手こずって。

ーこれだけの量ですしね、、、。

自分の家じゃできなかったんで、事務所を貸してもらって、そこで朝の4時まで写真をバーって全部広げて見たりして。だから、このデモブックが展示来た人に一番見てもらいたいですね、なんか命を削った感もあるし。笑それで、これを当日salt and pepperさんに持っていったんですけど、このデモブックが結構誠意として表れたからよかったのかなと。

ー2日間でこの量をまとめるのは本当に凄いですね、、、。笑

自分も今までにないくらい向き合いましたね。笑でも、やってよかったです。


ー18歳に渡米後、フィルムカメラに興味を持ったのが写真を撮り始めたきっかけとのことですが、その具体的なエピソードがあれば聞かせてください。

元々、コンパクトカメラみたいなのを持ってて、初めはそれで写真を撮ってたんですけど、本格的にやってみようってなったのは、ニューヨークでスケートクルーみたいな人たちと一緒に滑るようになってからで。彼らが、全員って言っていいほど一眼のフィルムカメラで写真を撮ってて。オートじゃないフィルムカメラで、自分でフォーカス合わせたりするっていうのがなんとなく楽しくなっていって、それで自分のバイト代でカメラを購入して、そこからのめり込んでいきましたね。

ーなるほど。

その彼らがちっちゃい展示みたいなのも現地でやってたんですけど、なんかカッケェなって思って、表現の幅とか色々そこで学んだ気はしてますね。

ーローカルのスケートカルチャーからも、影響を受けてたんですね

そうですね。その人らはスケートフォトだけじゃなくて、スナップとかも色々撮ってたんで、そこで”あ、俺もコレだな”ってなって。それまではただの記録として写真を撮ってたのが、わざわざ撮りに行くようになって、本格的になったというか、写真に対する意識がそこで変わったのは自分で分かりましたね


ー本展のタイトル「ドラマティックトウキョウ」にもある通り、本展の撮影舞台を東京にしたのは何故ですか?

” 東京である意味”みたいなのもあって。仕事で海外に行くことも多くて、そこでの友達とかも色々居たんですけど、その人たちに”どこにも負けてない東京の良さや空気”っていうのを伝えたかったのもそうだし、東京に住んでる人にも、全然東京これからでしょ、っていうのを再認識してもらいたかったり。

ー東京負けてないぞ、と。笑

そう、海外を見てきたから、比較しやすかったのはあるし、東京に帰ってきたタイミングでは自分がクリアな状態になってるというか、フレッシュな目で町を見れたのもあって、僕にしか撮れない写真があるかもなってのは気づいてたので、それを伝えない手はないなと。よくファッションの分野だったりで、今と昔の日本を比べられますけど、俺らは今を生きてるので。今を楽しんでほしいというか、今東京に住んでる人達にはそういう思いを込めて、”東京”ってわかりやすく題名に入れたのはありますね。

ー今、昔の東京が話題にあがりましたけど、本展は現代の東京を写しているはずなのに、それらが統一性のあるレトロ感を纏っているのが不思議で。

結局その部分はずっと変わってないっていう、昔も今も東京は東京で。昔から変わらない東京のにおい、それは東京にしかないもので。日本が抱えてる暗いエネルギーみたいなものが、逆によかったというか、その”内の部分”っていうのを表現できたらなってのは思ってました。

ー本展の作品についてですが、実際に個展でみると気づく仕掛けがいくつかありますよね。ミラー紙を使ってたり、ラミネート加工をしていたり。


ミラー紙に関しては、ずっと使いたかったもので。前に自分で印刷した時に仕上がりが面白いって感じたのもあって、それは単純に自分のやりたいことをやっただけなんですけど。ポスターのラミネートは、印刷業者の方にこういう面白いのあるよって教えてもらって。結構光沢が好きで、プラス要素として、この写真を見た時にいいんだろうなってイメージができたので、これやりたいですってやらせてもらった感じですね。僕ら世代はああいうホログラフィックとか、遊戯王カードとか好きだし。笑

ーレアカードとかのやつですよね、それが嫌いな人きっといない。笑

そう。俺も大好きなんで、入れない手はないなって。笑


ー最後に、本展と共に出版した写真集”ドラマティックトウキョウ”の見どころやこだわりを教えてください。

表紙から最後までいい意味で一枚も休憩のページがない、全部ちゃんと見てもらえるような内容に組んでると思うし、そういう写真を詰め込んだつもりではあったので、頭からケツまで見て色々感じてもらえるといいです。僕は、写真は完全に受け手の人に任せていて、何を感じるかは僕が言うことではないので、各々の感想があっていいし、とりあえず見てくださいって感じです。笑 もし嫌いだったら嫌いでいいし、好きだったら好きでいいし、その感想を自分で持っておいてもらって、気に入ったらまた次の時に来てください。

ドラマティックトウキョウ
猪立山泰人

判型:240mm ×269mm
ページ数:162ページ
価格: ¥ 4950 (送料別)
発行部数: 初版300部



Taito Itateyama | 猪立山泰人

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Email : taitowave666@gmail.com

写真・ライター / 木村星来