
– NEW RELEASE –
Tranquilizer
Oneohtrix Point Never
Photo credit: Aidan Zamiri
現代音楽シーンにおいて、静かに、しかし圧倒的な影響力を持つワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、ニュー・アルバム『Tranquilizer』を発表!〈Warp〉より11月17日 (月) にデジタル/ストリーミングで配信がスタートし、11月21日 (金) にCDとLPが発売される。アルバム発表にあわせて、新曲 「For Residue」「Bumpy」「Lifeworld」 が解禁され、OPNならではの幻想的で超現実的なサウンド世界が姿を現す。
Oneohtrix Point Never – Lifeworld (Official Video)
精神安定剤を意味する『Tranquilizer』の出発点は偶然の光景だった。歯医者の椅子に横たわり、歯に響く振動を受けながら、ふと見上げた蛍光灯のカバー。灰色のタイル天井に貼られた、青空とヤシの木のプリント——安っぽい人工の楽園。その瞬間、OPNは問いかける。この世界の音とは何か。日常と非日常がかろうじて均衡を保ちながら共存する、この薄っぺらな現実の音とは。
さらに、数年前、インターネット・アーカイブから、巨大なサンプル・ライブラリがインターネットから忽然と消えた事件も創作の引き金となった。90年代から2000年代にかけての何百枚ものクラシックなサンプルCD——シーケンス、ビート、パッド、バーチャル楽器。『サイレントヒル』から『X-ファイル』まで、数え切れない作品に陰影を与えてきた音源たちが、一瞬にして闇に呑み込まれたという出来事。それは文化の断絶、時代の記憶を繋ぐ回線が無慈悲に断ち切られるような体験だった。幸いにも、失われかけた音の断片は再び救出され、文化的アーカイブとして息を吹き返す。本作は、過去への逃避とは何を意味するのか、そしてその先に何が待っているのかを問いかけ、超現実的でディープなテクスチャーで聴く者を包み込む。
失われた音の断片をもとに、『Tranquilizer』は音の幻覚を描き出す。静謐なアンビエンスがデジタルの混沌へとねじれ、日常の質感は感情の奔流へと変容する。忘却と廃退に形づくられたレコード。現実と非現実の境界はぼやけ、サンプルはノイズへと溶け込み、夢の中で扉がきしむ音を立てる。今作のOPNは、これまで以上に没入的だ。ノスタルジーではなく、失われた音を新しい感情の器として再構築している。
このアルバムは、かつて商業用オーディオ・キットとして作られた音源群に形を与えた作品だ。陳腐なサウンドの索引を裏返しにしたようなもの。今日の文化の奥底にある狂気と倦怠を最もよく表現できる、プロセス重視の音楽制作へと回帰した作品なんだ。
– Oneohtrix Point Never
アルバム発表にあわせて解禁された「For Residue」「Bumpy」「Lifeworld」の3曲は、メディアの崩壊、アンビエントな不穏さ、そして儚い美が交錯する、まさにOPNらしい世界が描かれている。
アートワークは、インディアナ州を拠点とするアーティスト、アブナー・ハーシュバーガーによって描かれた絵画で、アブナーが育ったノースダコタの平原を抽象的かつ有機的に再構築している。忘れ去られた素材や農村風景に根ざしたそのビジュアルは、『Tranquilizer』のテーマである崩壊、記憶、クラフト感と呼応する。
過去20年にわたり、OPNは世界有数の実験的エレクトロニック・ミュージックのプロデューサー/作曲家としてその名を確立し、21世紀の音楽表現を刷新し続けている。初期の『Eccojams』はヴェイパーウェイヴを生み出し、『R Plus Seven』や『Garden of Delete』といった作品はデジタル時代のアンビエント/実験音楽を再定義した。さらに、サフディ兄弟の『グッド・タイム (原題:Good Time)』と『アンカット・ダイヤモンド (原題:Uncut Gems)』やソフィア・コッポラの『ブリングリング (原題:The Bling Ring)』の映画音楽を手がけ、今年最も注目を集める映画のひとつであるジョシュ・サフディ監督作『Marty Supreme』の音楽も担当。またザ・ウィークエンド、チャーリーXCX、イギー・ポップ、デヴィッド・バーン、アノーニとのコラボレーションでも知られている。
OPN待望の最新アルバム『Tranquilizer』は、11月17日 (月) にデジタル/ストリーミングで配信され、11月21日 (金) にCDとLPが発売される。国内盤CDにはボーナストラック「For Residue (Extended)」が追加収録され、解説書が封入される。LPは通常盤 (ブラック・ヴァイナル) に加え、限定盤 (クリア・ヴァイナル) も発売。限定盤LPは数量限定の日本語帯付き仕様 (解説書付)でも発売される。さらに国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットも発売決定。




◆◆ Release Information ◆◆

ARTIST : Oneohtrix Point Never
TITLE : Tranquilizer
RELEASE DATE : 2025.11.21
LABEL : BEAT RECORDS / Warp Records
◆ Artist’s Profile
Oneohtrix Point Never|ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
ダニエル・ロパティンは、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの名で知られるアメリカ合衆国ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするエレクトロニック・ミュージシャン、音楽プロデューサー、映画音楽家である。通称OPN。
Instagram : @eccopn
